ということで、「
TOYOTA 2011 Sienna XLE」という車種を購入すべく奮闘が始まります。
自動車購入は多くの留学生にとって、最も大きな買い物の一つではないでしょうか。
後悔のないよう、満足のできる買い物ができればいいですね。
ポイントは以下。
①下調べ
②メールでの値段交渉
③いざ店頭へ!
それではステップを踏んで見ていきましょう!
①下調べ
この項目が最も重要です。
新車が販売されるまでの大まかな仕組みを知らなければ、戦略を立てられず交渉のポイントがずれてしまうからです。
■基本編
・ディーラー巡り
日本ではセールスマンがわざわざ家に来て売り込むこともありますよね。
アメリカでは、
ディーラー(販売店)がメーカーから新車を仕入れて、店頭に並べ、それを客が購入していく、という仕組みです。
すなわち、客が自分でディーラーを探し、気に入った車を求めてディーラー巡りをすることになります。
逆に、「自分の好きなようにオプションを決めてそれに合ったものを注文する」というパターンは少なく、「店頭にあるもので自分の希望に近いものを購入する」ことになります。
・InvoiceとMSRPって何?
絶対に抑えておくべき用語です。
Invoiceとは「
仕入れ値」という概念で使われます。
つまり、「ディーラーがメーカーから仕入れた値段」というイメージです。
一方、
MSRPは
Manufacturer Suggested Retail Priceの略で、「
メーカー希望小売価格」という意味です。
別名「Sticker Price」といい、店頭へ行けば必ず車の窓に値段の書かれたステッカーが貼っていますが、その値段がMSRPになります。
つまり、ディーラーは「Invoiceに自分たちの利益を足し合わせてMSRPで販売したい」というイメージですね。
ということは、
MRSP=Invoice+利益分
と考えておけば概ね間違いではありません。
通常、この利益分は$2,000~5,000に設定されていることが多いようです。
では、客としてはどのあたりが交渉の落としどころになるでしょうか?
もちろん、MSRPで購入しては相手の思うつぼ。
すなわち、「
どこまでInvoiceに近い値段で購入するか」がポイントになるわけです。
ですので、色々な体験談を読んでいると、
「Invoice+$1,000で購入した!」
「MSRPから$2,000も値引きに成功した!」
というコメントを見かけるのはそのような背景があるからです。
・InvoiceとMSRPを調べよう!
このInvoiceとMSRP、実は予め調べることができます。
以下が便利なサイトです。
・
Kelly Blue Book
・
Edmunds.com
・
Cars Direct
メーカー、車種、希望するオプションなどを入力すると、Invoice、MSRP、そしてFair Purchase Price(妥当な値段)が記載されます。
・ディーラー選びとQuote(見積もり)
これらのサイト、何が便利かというと、自分の住んでいる郵便番号を入力することで、近くにある
ディーラー一覧と
Quote(見積もり)を出してくれるのです。
こうして自分の希望にあった車のあるディーラーを巡ることになるのです。
中には最も安い見積もりを出すディーラーを選ぶ人もいるでしょう。
ただ、大事なポイントとして、「
今後ディーラーでアフタケアをしてもらう」ことになるので、可能であれば自宅から近い方が何かと便利です。
また、Quote(見積もり)については、実にディーラーによって値段が様々です。
細かいオプションの違いはありますが、
基本的に彼らはMSRPを提示してくるので、今後の値段交渉が必要ということです。
■応用編
さて、ここからは良いものをできるだけ安く購入するための応用編です。
先ほど、
「
どこまでInvoiceに近い値段で購入するか」がポイント
と書きましたが、実は
「
Invoice以下で購入することも可能」
なのです。
「えっ?Invoiceってディーラーの仕入れ値でしょ?それ以下で販売したらディーラーは赤字になるやん?」
もっともなご意見です。
でも、Invoiceの仕組み、カラクリを理解すれば、自ずと答えが見えてくるのです。
その前に、強い味方を紹介しましょう。
・重宝するサイト
以下、私が絶大な信頼を置くサイトです。
・
CarBuyingTips.com
最も参考になりました。
「ディーラーは大嫌いだろうが、読者の方はきっと大好きになってくれるはず」がキャッチコピー。
筆者である
Jeff Ostroffの、「ディーラーによる販売=Scam(詐欺行為)」と言って憚らない過激さが魅力的です。
特に、
How to Buy New Carsの下段にあるChapter 2-4を読み込みましょう。
基本から実践までユーモアたっぷりのTipsが満載です。
・
Beat the Car Saleseman!
過激さにはやや劣りますが、特に
Car Buyer's Schoolの項目は一読の価値ありです。
・Invoiceの本当の仕組み
それでは、Invoiceのカラクリを例を出して見ていきましょう!
Invoiceと一口に言っても、先ほど基本編で示したサイト
・
Kelly Blue Book
・
Edmunds.com
・
Cars Direct
などで表示されるInvoiceは、「純然たる仕入れ値」です。
つまり、「車の仕入れ値」+「運送費(メーカーからディーラーまでの)」
が示されているのです。
一方、ディーラーにInvoiceの開示を要求すると、上記以外にも様々な項目が書かれているのが分かります。
左がInvoiceで$36,643.25、右がMSRPで$39,299.00。
つまり店頭へ行くと車の窓にMSRPである$39,299.00が値段として貼られているわけです。
さてInvoiceを上から順に説明していきます。
・
Mfg Base Price:
これがオプションのついていない車そのものの仕入れ値です
・
Total Factory Options:
工場で予め取り付けられたオプション料金
・
Total Locally Installed:
手数料だと言っていました
・
Dealer Added Options:
ディーラーでさらに取り付けたオプション料金
私の選んだ「工場で取り付けられたオプション」は、例えばNavigation systemやCross bar、Mud guardなどです。
ちなみに「ディーラーで取り付けたオプション」は全窓ガラスのスモークなどです。
ここまでは特に問題ありませんよね。
次からは解説が必要です。
・T.A.F.、
T.M.F.:
T.A.F.は
Toyota Advertising Fee
T.M.F.は
Toyota Marketing Fee
でいずれも車を販売するために色々なサイトなどで宣伝した費用のことです。
友人のアメリカ人は「T.M.F.=Take More Finance(もっとお金を搾り取ってやれ)」だと笑っていました。
これらはディーラーによって値段が様々で、「Negotiable(交渉の余地あり)」です。
・Delivery/Processing/Handling:
これはメーカーからディーラーへの運搬費用です。
一番上のBase Priceとこの運搬費用を足したものが、純然たるInvoiceとしてサイトなどで紹介されるのです。
・Base Vehicle Holdback:
・
PIO Holdback:
ここからが一番の肝です。
Holdbackというのは、メーカーからディーラーに支払われる金額のことです。
このHoldbackがあるからこそ、ディーラーはInvoice以下で自動車を販売しても利益を得られるというわけです。
ではどのような時に支払われるのでしょうか。
Base Vehicle Holdbackとは、自動車が売れるとメーカーからディーラーに支払われる金額です。
Mercedesであれば3%、BMW、Lexus、日本車であれば2%が四半期に一度まとめて支払われるのです。
PIO HoldbackもHoldbackの一種ですが、PIOは
Port Installed Optionのことで
Dealer Installed Optionと同義です。
前述のとおり、オプションには
Factory Installed Option(FIO):「工場で取り付けられたオプション」と
Dealer Installed Option(DIO)/ Port Installed Option(PIO):「ディーラーで取り付けられたオプション」
があります。
つまり
PIO Holdbackとは、
「
ディーラーでオプションを取り付けることによって、メーカーからディーラーに支払われる金額」
のことなのです。
これは地域によって金額が異なるようです。
・Financial Reserve MSRP:
初めに書いたように、ディーラーはメーカーから自動車を仕入れて店頭に並べますよね。
もちろん店の敷地には限度がありますので、無尽蔵に車を展示できるわけではありません。
このFinancial Reserve MSRPとは、「
自動車を店頭に展示しておく駐車料金」です。
通常$150/月で、これは本来メーカーがディーラーに支払うべきものです。
ですので、これをInvoiceに載せないディーラーもあるようです。
・値引き交渉のポイント:
このようにディーラーの開示するInvoiceを紐解くと自然と「
値引き交渉のポイント」が明確になってきますよね。
Invoiceと一口で言っても、
「純然たる仕入れ値であるInvoice」と「ディーラーの開示するInvoice」では大きく異なるわけです。
つまり、
「ディーラーの開示するInvoice」=「純然たる仕入れ値であるInvoice」+「諸々の経費」
な訳です。
「ディーラーの開示するInvoice」はいわば、「
第2のMSRP」といっても過言ではありません。
ですので、交渉のポイントは、「
いかに『諸々の経費』を削ぎ落としていくか」。
具体的には、
1) 宣伝料金と称するT.M.F.
2) メーカーからディーラーに支払われるHoldback
3) 駐車料金と称するFinancial Reserve MSRP
などが値引き交渉のポイントになってくるわけです。
さぁ次はいよいよ
②メールでの値段交渉
実際にQuote(見積もり)を提示してきたディーラーとの値段交渉が始まります。
お楽しみに!