Whistle

Thursday, April 26, 2012

ACLS Certification ACLS取得



アメリカでClinical Fellowを行うにあたり、ACLS Certificationが求められます。
Letter of Offer参照)
今日ようやくACLSを受講してきました。
とはいっても、日本と異なり、何時間も会場に拘束されることはありません。
コースはPart 1とPart 2に分かれています。

Part 1はひたすらOnlineで進めていきますが、特にケースアセスメントはよくできていて、実際の症例をリアルに再現しています。
各ボタンをクリックすることで、問診、聴診、検査、投薬、CPR、除細動、挿管などアクションをおこし、点数がつけられます。
見事合格するとPart 1 Certificationがもらえます。
所要時間は数時間と長丁場ですが、保存しながら進められますので、一日で行う必要はありません。

Part 2は実際にSkills Centerで行われます。
コンピューターと人形が連動しており、人形にバッグ換気や30:2のCPRを行うだけのものです。
20分程度で終了し、合格するとPart 2 Certificationがもらえます。

こうして、両方に合格すると2週間ほどでACLS provider certificationが送られてくるというわけです。

2008年に日本で受講したときは、2日間みっちり訓練しましたが、アメリカのようにOnlineでコースを受けられれば、より普及するのではないでしょうか。

Wednesday, April 18, 2012

Pneumonia 肺炎

9歳の娘。
数日前からの38度の発熱と湿性咳嗽、咽頭痛。
感染症科の私としては
「まあ風邪だろう」
とろくに診察もせず高をくくっておりました。

ところが、今日の夜中、一緒に寝ている娘が
「寒い」
といってガタガタ震えだしたのです。
毛布を掛けてもガタガタ震えが止まりません。
医学的には「悪寒戦慄(Shaking Chills)」といい、体中を菌が回るいわゆる「菌血症」の所見です。
熱も39.5℃まで上昇。
咳も一向に治まっておらず、聴診器で診察したところ、なんと背側の左下肺野にInspiratory crackle(吸気時のラ音)が聞こえます。
典型的な肺炎の所見です。
Pneumococcus(肺炎球菌)では一回だけShaking Chillがあるんだよ。」
東京でよく一緒にカンファレンスを開催させていただいた、私の尊敬する元沖縄中部病院院長のM先生の談。

朝になって早速小児科に予約を入れ、受診しました。

さて、担当のドクターが診察した際には、ちょうど熱が下がっています。
「元気そうだし、特に音も聞こえないわね。風邪じゃないかしら。」
と言うので、
「とんでもない。私は感染症科の医者だ。ここに音が聞こえるだろう。ぜひX線をとりましょう。」
と主張。
医者としてみれば、こういう厄介な患者や患者の家族は、結構面倒くさいものです。
ただ、娘のことですので、こちらも必死です。
「わかりました。でもこの建物では撮影できないので、まず血液検査をして白血球が高かったら考えましょう。」
とのこと。
よく研修医には
「白血球やCRPといった非特異的なものに頼らずに、問診や身体所見から診断するように」
と口を酸っぱくして指導している私にとっては、聞き捨てならない言葉でしたが、あまり荒立てても仕方ないので、お願いすることにしました。

「24.9(24,900)もある!これは重症よ!すぐにX線をとりましょう。」
白血球数を見て驚くドクター。
兎にも角にもX線を撮影してもらえることになり、隣のTexas Women's Hospitalへ移動。
やはり左下肺野に淡い浸潤影がありました。

ということで肺炎の診断で、第3世代セフェム系の抗菌薬を10日間処方。

子供とはいえ、油断せずに普段からしっかりと診察せねば、と反省した一日でした。

Monday, April 2, 2012

J-1 Clinical Visa ビザ切り替え

■J-1 Visa Category
多くの留学生はJ-1 visaでアメリカに滞在しています。
ただこのJ-1 visaにはcategoryがあり、研究者はJ-1 Scholar、臨床医はJ-1 Clinicalというように分かれています。
現在私の役職はPostdoctoral Research Fellowですので、StatusはJ-1 Scholarですが、7月から臨床を始めるに当たり、新たにJ-1 Clinicalを取得しなければなりません。
J-1 Scholarでは臨床を行ってはならないという制約がありますし、Clinical Fellowとして臨床をする際には、Sponsorが各病院ではなく、ECFMG (Educational Commission for Foreign Medical Graduates)になるからです。
方法は二つです。
一つは、前回のJ-1 Scholar申請時と同様、DS-2019を取得し、日本のアメリカ大使館で発行してもらう方法です。
もう一つは、アメリカにいながら、ECFMGにcategoryの変更をしてもらう方法です。
前者は、比較的手続きがスムーズに運ぶことが利点ですが、欠点としてはわざわざ日本に一時帰国しなければなりません。
後者は、アメリカにいながら手続きできますが、その手続きはやや煩雑(J-1 Change Category参照)で、非常に時間がかかるだけでなく、一定の研究成果を上げていなければ変更が認められないなどの制約があることが難点です。
私はちょうど日本での用事もありましたので、前者を選択しました。
大学のVisa Officeに問い合わせたところ、やはり前者をお勧めするとのことでした。

■J-1 Visa Clinical取得までの流れ
では具体的な流れを見ていきましょう(ECFMG参照)。
J-1 Scholarと圧倒的に違うのは、DS-2019を取得するまでの書類の多さです。
J-1 Scholarは病院がSponsorになるため、病院からLetter of Offer(契約書)さえ発行してもらえば、あとは何の障壁もなく取得することができます。
MDAは事務手続きが遅く、私の場合には4ヶ月も要してしまいましたが。。。(DS-2019参照)

全体的な流れは以下です。
①必要書類を集めて、各大学のTraining Program Liaison (TPL)に提出する
②TPLがECFMGのEVNetを通じてon-line appointmentを提出する
③ECFMGからappointmentを受け取った旨メールが送られるので、OASISのJ-1 Visa Sponsorshipのパートを完成させ、申請料$275を支払う
④TPLがすべての書類をECFMGに提出する

一見単純なようですが、それぞれに時間がかかるため、タイムスケジュールを組み、律速段階となるべきステップを把握しておく必要があります。
University of Texasの説明では、④からDS-2019取得までの時間は、おおよそ4-6週間とのことですので、一時帰国の2ヶ月前までには④にたどり着いている必要があるわけです。
①から④までは数日で終わりますが、問題は必要書類です。
それでは具体的に見ていきましょう。

■必要書類(ECFMG参照)
・Letter of Offer
病院からの正式な契約書のことです。
プログラムは7月1日から開始ですが、Letter of Offerをもらえるのは3月末です。
ですので、これをもらえばすべての書類が整う、という段階にしておくのが理想的でしょう。

・Statement of Need
「政府証明書」というもので、日本の厚生労働省から発行されるものです。
なお、留学中も大学病院に所属する人は文部科学省からの発行になります。
J-1 visaに特有のもので、「この医師はアメリカでの研修後必ず日本に戻ってくる」ということを保証する書類です。
この書類を発行してもらうのに最も時間がかかりますので、できる限り早めに申請しましょう。
厚生労働省の医政局医事課医事係に電話すると、電話後すぐにメールで必要書類の一覧を送っていただけます。

厚生労働省医政局医事課医事係
住所:〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2
Tel: 03-5253-1111(代表)

必要書類は以下です。
①本人の略歴書等に関する調書(別紙様式1)
簡単な履歴書です。
②アメリカ合衆国留学の計画等に関する調書(別紙様式2)
アメリカにおける留学先機関名、住所、留学期間、留学目的、研修分野、帰国後の進路などを記載します。
③誓約書(別紙様式3)
研修修了後は速やかに帰国すること、帰国後はアメリカで学んだ分野についての業務に従事することを誓約します。
④保証書(別紙様式4)
これは日本に所属していた病院や施設からもらう書類です。
注意すべきは、上司などではなく、病院長/施設長しか保証人になれないという点です。
1.当人の人物評価について
2.当人がアメリカにおいて研修する分野についての日本における有用性について
3.当人がアメリカでの留学後速やかに日本に帰国し医療業務に従事することについて
4.帰国後の就労場所について
⑤委任状(別紙様式5)
申請者が海外に住んでおり、別の人に申請してもらう場合にのみ必要です。
⑥医師免許証のコピー
⑦アメリカでの留学先からの契約書(Letter of Offer)のコピーと和訳
これが重要ポイントです。
というのは、正式なLetter of Offerが送られてくるのは3月末ですので、これを待っていてはすべてに遅れが生じてしまいます
ですので、病院に問い合わせて、仮のLetter of Offerを発行してもらいましょう。
その際には必ず、
・雇用者の名称
・申請者の名前
・研修分野
・研修期間
・給与
・プログラムディレクターのサイン
などが記載されていることを確認しましょう。
⑧ECFMG Certificateのコピー

これら書類を厚生労働省に郵送すると、10日から2週間で政府証明書が自宅に送られてきます。
ただ、海外にいる場合には、多少やっかいです。
郵送する際、返信用封筒と国際返信用切手(International Reply Coupon: IRC)を同封しましょう。
IRCは1枚で130円の切手相当ですので、通常便(400-500円)だとIRCが4枚、EMS(国際スピード郵便 1200円)だとIRCが10枚必要です。
もちろんFedExを利用しても良いですが、かなり割高になります。

・Training Program Description
実際の研修内容を示したものです。
これも病院から発行してもらえます。

・Current Curriculum Vitae (CV)
申請者のEducation/ Professional Historyの詳細です。
Formatはmonth/yearですので注意しましょう。

・Copy of Passport Name Pages

・Copies of DS-2019
現在のDS-2019で結構です。

・Copy of I-94 card
パスポートにホチキスで止めてある出入国記録ですね。


今回は6月頭に帰国するので、それまでにDS-2019が届くのを祈るのみです。